【真作】近衛忠煕卿「残暑」和歌二首 肉筆 節約 紙本 掛軸◆1864元治元年作の戯れ歌 美麗茶掛三段表装 落款筆跡/美術館品等比較画像有◆y674

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【真作】近衛忠煕卿「残暑」和歌二首 肉筆 紙本 掛軸◆1864元治元年作の戯れ歌 美麗茶掛三段表装 落款筆跡/美術館品等比較画像有◆y674

【本作品について】

1.特別出品の本作品は、画像ご覧のとおり幕末に活躍したお公卿さんのひとりである近衛忠煕卿御筆(自筆)が揮毫の「残暑」と題した和歌二首を、茶掛け仕立ての貴重な作品です。

2.和歌二首の読みは次の通りです(掲出読み画像参照)
今も猶 扇(おおぎ)ばかりを たのみにて 袂(たもと)涼しき 秋風もかな
萩の葉に 声はあきるる 風ながら 夏を忘れぬ 暑さなりけり

3.参考までに公卿・近衛忠煕卿御歌「残暑」の歌を詠まれた背景の解題につき筆者所見を申し述べますので、是非とも参考にしてください。

本作品は、上記2のとおり、残暑が秋まで及びたるを詠ふ和歌ですが;

① まずこれは単なる残暑の歌ではないようです。この歌には当時の近衛忠煕が身を置かれし維新前夜の京都の事件を反映した歌と思われます。

② それが判るのは二首目の「萩の葉に 声はあきるる 風ながら 夏を忘れぬ 暑さなりけり」での「萩」とは長州藩の都・萩を指す隠語と解けば、

③ 続いて歌中で「夏を忘れぬ」と詠うので、1864元治元年7月に起きた「禁門の変」のことです。近衛忠煕は翌年尊王攘夷派の台頭によりその前年1863文久3年に関白内覧職を辞していたのですが、近衛忠煕の後を受けて関白に就任した鷹司輔煕卿の邸宅は、禁門の変で久坂玄瑞や寺島忠三郎ら長州藩兵が立て篭もり、会津・薩摩・幕府軍の攻撃を受け焼失した事件の勃発を詠われしこと。しかるに、「萩の葉に声はあきるる風ながら」と、萩に秋(あき)を引っ掛け、飽き(あき)もせず長州(萩)が熱くなっている様を「声はあきるる」と同音異語の「あき(秋、飽き)るる」に引っ掛けて歌ふのですから、もはや落首もどきの戯れ歌と解題できるのです。

幕末動乱の騒動期には、京の公人である公家がかような政争に巻き込まれぬよう一時身を引く素振りで、悠々と高みの見物の近衛忠煕卿のずる賢さには、それなりに達観した心映えぶりが「残暑」の歌に盛り込まれてしことも解題できるのでございます。

⑥ 近衛忠煕卿は幕末の立ち回り賢者の一人と知り、我々維新史研究者も歴史に埋もれつつある黒幕の一人と目星を付け注目し、古文書資料で探っていた次第でしたから、筆者は、維新史資料の一つとして本品和歌二首を随分と前に購入していた次第でございます。

かよう和歌文言の裏側を透かして見れば、ときおり時事問題が反映されており、和歌にて知れる当時の政治的背景から、時事に関わる詠み人の真意まで探れますから、勝敗知れぬ回天時代に本意を表に出さぬ重要人物の心底を、かように読み解き・見抜くことができる訳です。(筆者文責)

4 さて忠煕卿揮毫の書は重要美術品の大内基康コレクションに近衛忠煕卿の和歌懐紙も含まれるように今だに人気がございます。右忠煕卿の和歌懐紙との筆跡比較でも、遜色なく一致を確認しております(掲出比較画像参照)。

同様に近衛忠煕卿晩年作「対橘問昔」短冊「かくはしき花たちはなの香をとめて 世になき人のあとをとふかな 八十五翁 忠熙」との比較でも、筆跡・筆致・筆癖は随所で一致のことも確認致しました(掲出比較画像参照)。

5.然るに念のため日本書画鑑定大事典第6巻199頁所載の「近衛忠煕落款筆跡資料」との筆跡比較でも遜色なく一致を確認致しました(掲出比較画像参照)。然して、右4の二点の筆跡比較とも相俟り高い蓋然性が確保できましたので、真作保証致します。

6.本品の美麗上品なる濃淡の藍色仕上げの茶掛け三段表装の表具仕立ては、隅から隅まで見ても誠に雅いており、京都人の宮家や茶人好みに適い、全く隙がないことを特記し、以下表具仕様を明記します (掲出各画像参照) 。

① 天地は、淡い藍色(あいいろ)糸で織り成す手織りは無地の古代シケ。ランダムな横糸の自然な筋目がまことに上品にて、茶掛けに良くお似合いです。特に表具全体から見れば中央部が横物の和歌が象徴的に手前に押し出す風情を醸し出すのに一役買っております。
② 中廻しは、秋の空の如くに澄み渡る紺青色(こんじょういろ)地に、小柄な吉祥唐牡丹紋が蔓紋と可愛い鳳凰がリズミカルに配置されると共に、明るめの藍色に浮き上がった上品裂でございます。その優雅さには平安京都の高い文化性が感じられましょう。
③ 一文字と風袋は、灰白色(かいはくしょく)地に、細平金糸で小菊などの秋の野花紋様の間を飛ぶ鳳凰風紋様が刺繍されし、たいそう珍しい裂地で、その渋い煌めきがたいそう見事でございます。これも貴重な名物裂の様子かと。
④ 軸先はご覧の通り漆黒の塗黒製で、本表具に良く似合います。
⑤ 時代箱は、百数十年を経た桐箱にて、桐箱の底には旧蔵者がしたためた和歌二首の読みと短冊が収納されており(掲出画像参照)、これも来歴資料の一つとなりましょう。灰白色 灰白色 7.コンディションは、シミのみで、ヤケもオレも無く、時代品にしては最優良な状態です。このままただちにお披露目なさればたいそう展覧映えが致します。 以上の通り筆者推薦の近衛忠煕卿「残暑」和歌二首 茶掛けでございます。どうぞ文化財保護と歴史資料の観点でも、今後も大事にご保存願えますれば幸いにございます。



【略歴】
近衛 忠煕(このえ ただひろ)
1808文化5年~1898明治31年
幕末の公卿。公武合体派として活動した。翠山と号す。父は近衛基前、母は徳川宗睦の娘・琴姫。薩摩藩と関係が深く、忠熙の正室島津興子は薩摩藩主島津斉興の娘(実は前藩主・島津斉宣の娘)である。また、島津斉彬の養女天璋院は、忠煕の養女(藤原敬子)となった後、将軍徳川家定に嫁した。子に近衛忠房がいる。1857安政4年左大臣となるが、将軍継嗣問題で一橋派に属したため、安政の大獄により失脚し、落飾謹慎する。1862文久2年に復帰して関白内覧を務めるが、翌年尊王攘夷派の台頭により関白職を辞した。その後も明治政府とは距離を置き、東京遷都後、ほとんどの公家が東京に移住した後も京都に居住、孫の篤麿を引き取り養育に専念した。明治天皇の度重なる要請に折れ東京に移ったのは、息子の忠房が死んだ後の1878明治11年のことである。





【内容】

肉筆 紙本 掛軸
全体:103.5 x 46 ㎝ / 本紙:16.1 x 42.8 ㎝


【状態】

シミ
※くれぐれも画像にて詳細をご確認頂き
ご納得された上でご入札頂きますよう宜しくお願い申し上げます



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※元払発送による過剰な送料請求を避けるため、送料は着払でお願いしています 。

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最終判定保留の作品ですので全て模写といたします。


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